ブラウティガムとエル=バシャ (2) シューマン ソナタ2番と3番

(前の投稿のつづき)

 さて、ブラウティガムのソナタ第3番だけれど、確かに "Vivacissimo" が収録されていた。

1. Scherzo. Molto comodo
2. Quasi Variazioni. Andantino de Clara Wieck
3. Prestissimo possible
4. Scherzo. Vivacissimo (from the 1836 aoutograph, posthumously published in 1866)
5. Quasi Variazioni. Andantino de Clara Wieck (from the 1836 autograph, posthumously published in 1983)

という収録順。

 1853年の改訂版の4楽章を続けて収録した後に、初稿(自筆稿)では第2楽章に置かれていた "Vivacissimo" と、"Andantino de Clara Wieck" の初稿(自筆稿)の2つが続けて収録されている。だから、エル=バシャが4楽章の形で収録しながらも、第2楽章のスケルツォだけを "Vivacissimo" に置き換えているのとは意味が異なっている。ソナタ全体(1853年版)とは別のディスクに分けて、「拾遺集」のような形で "Vivacissimo" を収録したデームスのシューマン全集と同様、記録的なニュアンスがあるかもしれない。もし、演奏会で演奏するとしたら、ブラウティガムは1853年版の4つの楽章だけを演奏して、 "Vivacissimo" は演奏しないのではないかという気がする。

 (余談だけれど、ブラウティガムは最近、フォルテピアノでモーツァルトとハイドンのソナタを録音し、これが話題になった。彼のCDを買いに行って、すぐに見つかるのはいずれもフォルテピアノのCDではないかと思う。だから、彼はフォルテピアノ奏者に転向してしまったのだと思っていたのだけれど、昨年の春、来日した時には、前半はフォルテピアノでハイドンとモーツァルトを、後半はモダンピアノでメンデルスゾーンとシューマンのクライスレリアーナを演奏。しかも数日後には新日本フィルの定期でリストのコンチェルトをモダンピアノで演奏。転向してしまったのかなと思ったのは私の早合点に過ぎなかった。)

●ソナタ第3番の簡単な概略
●エル=バシャのシューマンのCD
●ブラウティガムのシューマンのCD
●デームス御大@シューマン全集

[ブラウティハム]