真夜中の妄想

 
 
少し前まで、脳がiTunesやSpotifyに直接アクセスできるようになったらいいなと思っていたが、今はさらに進んで「想像でいい」という気もしている。

「~の音楽を聴いた」と想像する。すると「~の音楽を聴いた」というニセ記憶が脳内で自動生成される。必要なのは音楽ではなく、ニセ記憶を埋め込む装置だな。

トータルリコール…

未来の興行会社は、演奏団体の招聘なんてもうやってない。記憶を作って人々に埋め込む会社になっている。ウィーンのあのオーケストラやベルリンのあのオーケストラなどの演奏会を「聴いた」という記憶(だけ)が脳に注入される。

プレミアムなセットを買うと、開演前か終演後に、高級なレストランでゴージャスなディナーを食べた記憶もセットになっている。値段は割と良心的。痛みもない。
(ただ「事故」はたまにあるかもしれない。「たまに」なので金で揉み消されて表沙汰にはならない。

「モーツァルトを聴かせて作ったお酒」みたいなのが話題になることがあるが、そんなのはもう古い。これからは「飲んだらモーツァルトがきこえてくるお酒」だ。それは酩酊なのか幻聴なのか。紙一重のところをつくのだ。

実際に飲んでみたタナカさん(仮名)の感想:
「ぷはー、よっぱらっちったー なんか遠くからモーツァルトがきこえる~ ふわぁ~」

やばさしか感じない。

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