2016年12月のコンサート

備忘録的インデックス。

※これもずっとアップを忘れていた。


●12/3(土) サントリーホール (18:00)
東京交響楽団 第647回 定期演奏会

ジョナサン・ノット(指揮)
ヨハネス・モーザー(チェロ)

ヴァーグナー / 楽劇「トリスタンとイゾルデ」第1幕への前奏曲
デュティーユ / チェロ協奏曲「遙かなる遠い国へ」

(ソリストのアンコール)
バッハ / 無伴奏チェロ組曲 第1番 ト長調 BWV1007 から サラバンド

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シューマン / 交響曲 第2番 ハ長調 op.61

※前半2曲は続けて演奏。


●12/7(水) 武蔵野スイングホール(武蔵境)
イリア・グリンゴルツ 無伴奏ヴァイオリン・リサイタル

パガニーニ / 24のカプリース op.1

(アンコール)
バッハ / 無伴奏ヴァイオリン・ソナタ 第2番 イ短調 BWV1003 より 第3楽章アンダンテ

http://www.musashino-culture.or.jp...

※グリンゴルツのシューマンの室内楽作品集を愛聴してきたが、なかなかご本人の演奏会を聴く機会がなく、念願かなって武蔵野でリサイタルを聴くことができた。期待通り、いやそれ以上。すばらしかった。また東京で演奏会をやってほしいなあ。

武蔵野市民文化会館が改装中のため、武蔵境のスイングホール(180席)での開催。180席とあるが、中に入るとそんなに客席数があるのかなあと思えるほどこじんまりした会場。これはヴァイオリンひとつ(ヴァイオリンってどうやって数えるのだ?本?丁?台?あるいは棹?)だったから、あのサイズの空間でよかったが、ピアノが入ったらちょっとつらかったかもしれない。

このホールにははじめて行ったし、あそこにホールがあったことさえ知らなかった。前世紀、出向先が武蔵境にあったので、しばらく通勤していたことがあるが、自宅からはちょっと遠い。ホールの隣のファミレスは、当時、一緒に出向していた上司とランチを食べに立ち寄った店のひとつ。記憶への郷愁に誘われて(早く着きすぎたこともあり)、開場前にふらっと入って珈琲を飲んだが、まあ、普通にファミレスだった。ホールのすぐ隣にこういう店があるのは便利でいいよなとは思ったけれど。駅が新しくなっていて、当時の記憶とはまったくつながらなかった。こういう感覚は不思議でもあり、何かもやもやするようでもあり。


●12/17(土) トッパンホール (19:00)
ジャン=クロード・ペヌティエ(ピアノ)
スクリャービン 死の12日前のプログラムを核に
(5/7の振替公演)

スクリャービン /
 前奏曲 変ニ長調 op.35-1
 前奏曲 変ロ長調 op.35-2
 4つの前奏曲 op.37
 前奏曲 ト長調 op.39-3(1903)

ラフマニノフ / 10の前奏曲より 第6番 変ホ長調 op.23-6(1903)

スクリャービン /
 マズルカ ホ長調 op.25-4(1898)
 練習曲 変ロ短調 op.8-7(1894)
 ワルツ 変イ長調 op.38(1903)

シベリウス / 悲しきワルツ(1903)

スクリャービン / ピアノ・ソナタ第3番 嬰へ短調 op.23(1898)

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リスト / 灰色の雲 S199(1881)

スクリャービン /
 《4つの小品》より〈ニュアンス〉op.56-3(1906-07)
 《4つの小品》より〈やつれの舞曲〉op.51-4(1906)

リスト / 調性のないバガテル S216(1885)

スクリャービン /
 前奏曲 op.74-4
 前奏曲 op.74-1(1914)

シェーンベルク / 6つの小さなピアノ曲 op.19(1911)

スクリャービン /
 2つの舞曲 op.73(1914)
 前奏曲 op.74-2(1914)
 《2つの詩曲》より〈不思議〉op.63-2(1911-12)
 ピアノ・ソナタ第4番 嬰ヘ長調 op.30(1903)

(アンコール)
ドビュッシー /
 「ピアノのために」より サラバンド
 「ベルガマスク組曲」より 月の光

http://www.toppanhall.com/concert...

(以下、ホールから帰った直後に書いた友人あてのメールから抜粋、文体を整えて構成)

※スクリャービンが亡くなる12日前に開いた、最後の自作自演リサイタルの曲目をメインに据え、そこにラフマニノフ、リスト、シェーンベルクが加えられたプログラム。プログラムのセンスが特異で、驚きの連続。ペヌティエは以前にもスクリャービンの最後の自作自演リサイタルを再現する演奏会を開いたことがあるそうだが、それだと時間が少し短いということもあって、今回のようなプログラムになったと当日配布の解説にはあった。

 スクリャービンのソナタ3番までが前半で、途中1度、舞台袖に引っ込んだ以外は続けて演奏。後半もプログラム全体がひとつの大きな作品のように続けて演奏された。リストがいかに先駆的だったか、シェーンベルクが先駆的でありながら、やはりロマン的なものをはらんでいるか、そんな気づきも客席側にいて感じることができた。

 ペヌティエは本番前に会場で弾いて、曲目を変えることがあるときいたことがあるので(前回は当日のリハーサルの後で少し変更された)、今回の曲目は予告通り弾かれるのだろうかと思って出かけた。だが、変更の余地がないほどすべてのピースがぴたりとはまっていた。プログラム全体に何か必然性があると感じられるような自然さがあったし、その流れがすばらしかった。