モンサンジョンとの3日間 in Tokyo(その1)

●9/27(火)~9/29(木)
銀座ヤマハホール
「モンサンジョンとの3日間 in Tokyo」


 あまりにも多忙すぎたため、まったくこの日記を更新することができなかった。この2か月余りの間、日程と曲目だけを書いた「備忘録」の部分ばかりが増えてしまった。さて、だいぶ時間がたってしまったけれど、過去の話を少し書き留めておこうと思う。

 9月末に行われたモンサンジョンのイヴェントは本当におもしろかった。「夜の部」のミニ・コンサートと鼎談を3日間通して聴いた。グールドの日(2日目)は気合を入れて(というか都合をつけて)「昼の部」の映画上映も最初から全部観た。多勢の聴衆と一緒にホールで聴く(観る)「グールドのゴルトベルク」…というのはコンサート活動を拒否した彼の演奏家としての姿勢から考えるとなんだか反則のようにも思えたが、ホールのスクリーンの上であのゴルトベルクの演奏がはじまってしまったら、もう余計なことを考えている余裕はこちらにはない。今までどれほどの回数を聴いたか観たか、もはやわからないほど体に染み込んだ演奏…けれど、やはりあのゴルトベルクには引き込まれてしまうし、曲が進むにつれて、観ているこちらは息をするのも忘れてしまいそうになる。ホールで(比較的)大きな画面で、大きな音で、そしてモンサンジョン本人を含めた「同志たち」(!)と共に聴く、共に観る「動いているグールド」、「ゴルトベルクを弾くグールド」…。感慨深い。彼の弾くピアノの音が宇宙の姿そのものであるかのように拡大し、私の脳内で膨張する。グールドのピアノの音以外にこの世には何も存在しないのではないかという錯覚さえ生じる。グールドが最後のアリアを弾き終わった時、スクリーンの中のグールドに向かって拍手した3人ほどの人がいたけれど、私も思わずスクリーンに向かって拍手した。私にとっては、今年「ホールで聴いた」最高のピアノ演奏はあのグールドで、あのゴルトベルクだった。

 …という話は「したらキリがない」ので置いておくとして、以下、初日の話につづく……。

(文中、敬称省略)