ムーティ指揮ウィーン・フィル オール・シューベルト(川崎)

●10/7(金) ミューザ川崎シンフォニーホール

(指揮)リッカルド・ムーティ
(管弦楽)ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団

(オール・シューベルト)
ロザムンデ序曲
交響曲 ロ短調 D759(未完)
交響曲 ハ長調 D944

(アンコール)
ロザムンデ 間奏曲


この公演を聴いて特に強く感じたことが3つあった。

(1)ムーティ!
(2)ウィーン・フィルのフルートは神。
(3)ウィーン・フィルの人たちは「おらが街」のフランツ・ペーターが大好き。

 D759では、響きの重厚さにはっとさせられた。とても美しい響きだったけれど、私には少し重すぎたかもしれない。D944は徐々にスピードアップ(現実にテンポが上がる、という意味ではなくて、全体のテンションが上がっていく、という意味で)。超特急のノリ。バッカスの酒宴もかくやという乱痴気騒ぎ(第3楽章、第4楽章)。これはこれで楽しい音楽だったけれど(…むにゃむにゃ…)。ほかのオーケストラからは聴いたことのないような弦楽器の豊穣な響きがあふれ出てくる、それらと金管や木管の彩りとの融合の美しさは格別。「ウィーン・フィルの奏でるグレイトを生で聴く」という夢がよもやJR川崎駅前でかなうとは思ってもいなかったけれど、それはそれ。幸せな一夜だった。何よりも演奏している人たちが楽しんで弾いていたし(終楽章では団員が楽器でダンスをしているようでおもしろかった)、客席のみなさんもご一緒に楽しみましょうという彼らならではの独特な雰囲気があって、とにかく楽しかった。忘れがたい公演。