●10/9(日) HAKUJU HALL (マチネー)
伊藤恵&伊藤ひろ子 ピアノと朗読で聴くシリーズ Vol.4
「モーツァルト ~ 神童から作曲家への道 ~」(初演)
前半はピアノのリサイタル(K.330, K.331)、後半はピアノと朗読で綴るモーツァルトの物語。伊藤ひろ子さんは劇団民藝で宇野重吉さんや大滝秀治さんにお芝居を学んだ女優さん。作曲家たちの物語、あるいはイギリスやフランスの詩などを朗読用の台本として自身で書き上げ、ピアノやギターなどの奏者と共に舞台に乗せてこられた。作曲家の物語としては、シューマン夫妻、バッハ夫妻、シューベルト、モーツァルトを取り上げてこられた。(モーツァルト記念年でもあった昨年は、このモーツァルトの朗読を中川賢一さんのピアノで各地で再演されたとのこと。)
この「ピアノと朗読で聴く」というシリーズについて、言葉で説明するのはなかなか難しい。音楽は単なる「背景」ではないし、もちろん「BGM」のようなものでもない。かといって、言葉を説明するものではないし、朗読で語られる言葉も音楽については説明しない。音楽の選曲は演奏者が物語に合ったものを選び、同じ演奏者であっても、選曲やどこをどう弾くかということは公演ごとに少しずつ変えているとのことなので、演奏者が違えば音楽も違うものになるようだ。だから、同じ演目でも、聴くたびに違って聴こえるのではないかと思う。
言葉と音楽が室内楽のように絡みあい、響き合いながら物語の場面を1つ1つ形づくっていく。地味だけれどおもしろい企画だと思う。
取り上げられる曲はピアノ曲だけに限らず(ミュンヘンで歌劇場に通いまくったという伊藤恵さんならではだろうけれど)オペラや協奏曲など、オーケストラの作品もたくさん取り上げられ、おもしろかった。