敷島公園、朔太郎の書斎
文学館を後にし、朔太郎記念館に移動する。(朔太郎の記念館は文学館の近くではないので車で移動) 群馬県立敷島公園という広大な公園の「ばら園」に朔太郎の生家の一部(書斎、土蔵、離れ座敷)が移築されている。書斎は味噌蔵を改造したものだそうだが公開されていなかったので見ることができなかった。インテリアや家具類などは洋風に統一されていたとのこと。文学館に朔太郎が自らデザインしたという机と椅子が展示されていたが、彼の好みは今見てもモダンで機能的。時代的にバウハウスなどと重なるのではないかと思うが、そういった時代の最先端の空気や気風を前橋にいた朔太郎が鋭敏に感じ取り、自分の実際の生活の中に取り入れていたというところに驚く。書斎も彼の好みを取り入れたモダンなものだったのではないかと思うが、中を見られなかったのでわからない。移築された建物のうち土蔵が記念館として公開されている。朔太郎が実際に触れていた家屋であるというありがたみを感じつつも、私の興味はそれら歴史的建物から公園内の現在の施設に移る。道々の花々が美しい。一際目を引く巨大温室らしいものがあるので、どうしてもそこに入ってみなければと思い、そちらへ移動する。米国国防総省のような形の温室は非常に大きなガラス張りの建物。中では巨大なサボテンなどが栽培されていた。
敷島公園、朔太郎記念館近く
敷島公園、温室のサボテン
朔太郎の『月に吠える』を読んだのは十五~六歳の頃ではないかと思う。あの本は私には大きな衝撃だったし、中のいくつかの作品には熱狂したと言ってもいいかもしれない。しかし、いつの間にか、そのことさえ忘れてしまっていた。最後に朔太郎の詩集を手にとって読んだのがいつだったかということさえ思い出せない。前橋で朔太郎の世界に触れる機会を得て、幼なじみと久しぶりに再会したような気持ちになった。
前橋で撮った写真を簡単にまとめた。 → ふろく写真集