書けば長いいきさつから、昨年の晩夏、シューマンのピアノ・コンチェルトを聴くために和歌山まで出かけた (→公演内容)。 (小泉和裕さん指揮の大阪シンフォニカー、独奏は宮下直子さん) このコンチェルトではシューマンの夢みる世界が清らかにそして純粋に歌われていて、とても美しい演奏だった。
和歌山に出かけたのははじめて、コンサートの翌日は日曜日、急いで帰る必要もなかったので、どこか見てから帰ることにした。この時のことを書きたい。
この時の目的地は三つ。どうしても行かなければならない場所は有間皇子神社(藤白神社)。時間と天気次第で行くつもりになっていたのが南部(みなべ)の結び松の跡、そして谷山浩子さんの「テングサの歌」で(谷山さんの往年のファンにはとても)有名な紀勢本線岩代駅のプラットホーム。
とても暑い日で、体感的には前日、後にしてきた東京よりもさらに暑かった。その陽気に私は完全にバテてしまった。駅に向かう際、タクシーの運転手さんに聞いたら「今年は特別、そして今日は特に暑い。いつもはこんなに暑いということはない」とのことだったが。さらに前日は青空も見え、ホテルの窓からは紀の川を見下ろしてはるか彼方の風景をも堪能することができたのに、朝起きたら、窓の外が真っ白、ガスがかかっていて何も見えない。あまりの天気の相違にびっくりした。外に出た時も、雨というほどの雨ではないが、いつ土砂降りになってもおかしくないような空模様。今日はあまり遠出せず、早めに遊山を切り上げた方がよさそうだなと判断した。そのようなわけで、残念ながら、結び松の石碑と岩代駅には行けなかったが、和歌山城と有間皇子神社、皇子が処刑されたと伝えられる藤白には出かけることができた。
前日は青空の美しい天気だったのに、
一夜明けた朝、街は雲の中に…
(つづく)
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・ 紀州、和歌山城 (1)
・ 紀州、和歌山城 (2)
・ 紀州、和歌山城 (3)
・ 紀州、有間皇子終焉の地 (1)
・ 紀州、有間皇子終焉の地 (2)