家系図を作るために資料を集めた話 (ツイッターのログ)

ツイッターのログをまとめただけ。
(最後はなぜか(いや、案の定)ロベルトで終わる)

2022年08月07日(日)

戸籍制度で自分の先祖がわかると言っているツイートを見たが、そんな簡単にはわからない。
戸籍は役所の保管期間が決まっているから過去のものは廃棄されていることがあるし、情報の宝庫の壬申戸籍は役所に保管されていても閲覧できないし。さらに、より古い情報には戸籍からはたどり着けないし。

“除籍と改製原戸籍には保存期間が定められています。以前は80年でしたが、平成22年(2010年)に見直しがされ、一気に150年まで延長されました”
“昭和4年以前の除籍は、廃棄されている場合もある”

- 戸籍の保存期間は150年に!それ以前は法律で廃棄されてしまうのか?
https://ka-ju.co.jp/column/retention_period

“1968年(昭和43年)に壬申戸籍が他人の身辺調査、つまり被差別部落民かどうかを調査するための手段として利用されようとしていた事件が発覚します。”

“この事件を受けて、民事局長の通達により閲覧禁止とされ、以後壬申戸籍は法務局・市町村のいずれかで厳重に封印・保管されることになりました。このような経緯から、現在閲覧できる最も古い戸籍は明治19年戸籍までとなっています。”

- 国によって封印された「壬申戸籍」。閲覧できない理由とは?
https://ka-ju.co.jp/column/sealed

“明治5年から作られた壬申戸籍”
“妾を記載”
“行政の警察的要請から族称、家の職業、宗旨の菩提寺、氏神、犯罪歴、戸主の印鑑を記入”

- 壬申戸籍と身分法
https://www.kishimotoyoshinobu.com...

これは家系図を作ろうと思って自分の先祖の戸籍を集めた時の経験から。今はもう存在しない自治体の小さな役所に行って、家系図を作りたいという事情を説明し、遡れるだけ遡って古い戸籍が欲しいと伝えた。その時に「戸籍の保管は80年と決まっているので古いものは残っていないかもしれない」と言われた。

役所の人たちが親切で、見るだけ見てみましょうと言って調べてもらったら「ありました!明治の戸籍が!」と、それをコピーしてもらった。でもそれは私が子供の頃に父から見せたられた「昔の戸籍」と同じだったので、「これより前、明治初期のものが見たい」と伝えたら「それは残ってないんですよ」と。

後で日本の古い戸籍制度について調べて、明治初期の戸籍は「残っていない」のではなく閲覧禁止なのだということを知った。せめて子孫には見せてほしい。

うちは江戸時代後期に分家したので、分家時の先祖より前の情報については、家族内のわずかな伝承以外はほとんどない。

本家は本家で、戦後もまだ続いてはいたが(少なくとも昭和の中期くらいまでは)、血縁・地縁とも過去から断絶してしまっており、家族内の伝承すら途切れていた。うちとつきあいが途切れて軽く半世紀くらいは経つので、もしかしたら今は「そして誰もいなくなった」の世界かもしれない。

まあいいのだ。
日本全体がこれからは「そして誰もいなくなった」の世界になる。

以前は昔のことを調べてもわからないのはイライラするしもどかしいと思っていたが、最近は昔のことは調べても「わからない」か「よくわからない」のが普通なのだと思うようになった。

この時、親切な役所の人から「図書館に昔の資料が何かあるかもしれないのできいてみては?」と図書館の場所を教えてもらって図書館にも寄った。図書館でも「系図を作るために明治より前の先祖のことを調べている」と伝えたら、地域の歴史的文献をまとめた本を出してくれ、この中に何かあるかも?と。

借り出せる本ではなかったと思う、それ以前に借り出す資格もなかったし(住民ではないから)、滞在できる時間も少なかったので、大急ぎで関係がありそうなところだけパラパラめくって、何もないなあと思いながらも、とりあえず家があったあたりと思われる地帯の図面的なものをコピーして帰ってきた。

欲しい情報がそう簡単に本に載っているわけないよなと思った。後日、改めてそのコピーを眺めた。幕末頃のある街の図で、その辺りに屋敷がどう並んでいたかを示すもの、当時の図面から転写されたものだった。

なんとなくそれを眺めていたら、なんとそこに幕末の先祖の名前が載っていた。名字が省かれていたが、少し変わった名前だから間違いない。下の名前だけだったからすぐに気がつかなかったけれども。家族内で伝承されていた場所に本当に住んでいたのだなあと感慨深かった。

少し変わった名前だったからわかった。
謎解きみたいでおもしろかった。
何かを調べることの醍醐味。

なお、このご先祖はロベルト(1810-1856)とだいたい同じ時代の人だったことが過去帳と墓石からわかっている。没年が近い。

ロベルトは本人なら忘れてほしいと願うであろう情報まで細かく残っていて気の毒だなと思うことがある。精神病院の話題などは子孫もあまり触れてほしくないだろうし。
その反面、後世の人たちが知りたいと思うような情報が本人によって破棄されていて永遠に知ることができない。