備忘録的インデックス。
●11/1(日) 横浜みなとみらいホール 小ホール (15:00)
横浜開港150周年記念
横浜市招待国際ピアノガラ・コンサート (第2日目)
(ピアノ)江崎昌子、寿明義和、東誠三、小川典子、田村響、海老彰子
(江崎昌子)
ショパン / マズルカ
第30番 ト長調 op.50-1
第45番 イ短調 op.67-4
第34番 ハ長調 op.56-2
第41番 嬰ハ短調 op.63-3
第32番 嬰ハ短調 op.50-3
第23番 ニ長調 op.33-2
第29番 変イ長調 op.41-4
第26番 嬰ハ短調 op.41-1
(寿明義和)
ラフマニノフ / 楽興の時 op.16
(東誠三)
ベートーヴェン / ピアノ・ソナタ 第14番 嬰ハ短調 「月光」 op.27-2
ショパン / スケルツォ 第4番 ホ長調 op.54
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(小川典子)
ドビュッシー / 塔、雨の庭 (「版画」より)
ドビュッシー / 沈める寺 (「前奏曲集 第1集」より)
ドビュッシー / 月の光 (「ベルガマスク組曲」より)
ドビュッシー / 金色の魚 (「影像 第2集」より)
リスト / ラ・カンパネラ
(田村響)
リスト / バラード 第2番 ロ短調 S.171
ショパン / ワルツ 第2番 「華麗なるワルツ」 変イ長調 op.34-1
(海老彰子)
ベートーヴェン / ピアノ・ソナタ 第23番 ヘ短調 「熱情」 op.57
※前日の知立同様、伊藤さんはインフルのため小川さんが代演。シューマンとシューベルトが聴けなかったのがちょっと残念だったけれど、たくさんのピアニストの演奏を1度にまとめて聴けたのはおもしろかった。全体を通して特に印象に残ったのは小川さんと田村さんの2人。2007年ロン=ティボー優勝の田村響さんの演奏をずっと聴きたいと思っていたが、なかなか機会がなくてこれまで聴けなかった。ようやくこの演奏会で念願がかなった。リストとショパン、もちろんどちらも見事な演奏だったけれど、私は特にリストの音の美しさに陶然とした。今度はぜひリサイタルとコンチェルトを聴いてみたい。
●11/7(土) サントリーホール (18:00)
東京交響楽団 第572回 定期演奏会
(指揮)ユベール・スダーン
(ピアノ)ゲルハルト・オピッツ
ブラームス / ピアノ協奏曲 第1番 ニ短調 op.15
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シューマン / 交響曲 第2番 ハ長調 op.61 (マーラー版)
(アンコール)
シューマン / トロイメライ op.15-7 (オケ版)
※マーラー版の中ではおそらく最も大胆な改修(?)が施された2番の日。このマーラー版2番は「やっぱり、なんか変?!」なのだけれど、演奏はすばらしかった。2番は人気曲だからかもしれないけれど、示し合わせてもいないのに、友人たちが集結していたので(それぞれバラバラに、だったけれど)、おもしろいなあ、言わなくても、集合をかけなくても、ちゃんとみんな集まってくるんだなあと妙に感心。オピッツのコンチェルトはきわめて正統かつ重厚なブラームス。新鮮で時々斬新、そしていささか危なっかしいところのあったエマールとは好対照。こういう「違い」を同じホールで短期間のうちに聴き比べることができるのは本当におもしろいし幸運なこと。オーケストラの定期なのに、(ソリストではなく)オーケストラがアンコールを演奏。ソリストのアンコール演奏は定期でも案外とあるけれど、オーケストラのアンコール、これは定期では本当に珍しいこと。
トゥールーズ・キャピトル国立管弦楽団
(指揮)トゥガン・ソヒエフ
(ヴァイオリン)諏訪内晶子
ドビュッシー / 牧神の午後への前奏曲
ブラームス / ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 op. 77
(ソリストのアンコール)
J.S.バッハ / 無伴奏ヴァイオリン・ソナタ 第2番 イ短調 BWV1003 から アンダンテ
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ムソルグスキー(ラヴェル編)/ 組曲「展覧会の絵」
(アンコール)
チャイコフスキー / バレエ「くるみ割り人形」から 「パ・ド・ドゥ」
ビゼー / オペラ「カルメン」から 第3幕 間奏曲
ビゼー / オペラ「カルメン」から 前奏曲
※この公演の直前、ウィーン・フィルのソウル公演とそれに続くウィーンでの定期演奏会で、急遽、メータの代役としてウィーン・フィルに指名されたソヒエフのことが話題になった。私は春か初夏頃まで(要するにこのトゥールーズ・キャピトルの公演情報を見るまで)、トゥガン・ソヒエフという名前さえ知らなかったくらいだから、ウィーン・フィルのこの「事件」については多くの人がそうだったように、やはりとても驚いた。
ソヒエフはゲルギエフと同じく北オセチア出身、1977年10月生まれとのことだから、このサントリー公演の時は32歳になったばかり。ムーシン(!)とテミルカーノフ(!!)に師事、マリインスキー劇場で指揮者デビューした若手のホープとのこと。知人が強烈にソヒエフのことを推奨していたので、このコンサートについても、私にとっては未知の指揮者だけど、物は試しと聴きに行くべきなのか、どうしようかとちょっと(かなり)迷っていた。あれこれあって、結局、別の友人からの誘いもあって聴きに出かけたのだけれど、やはり出かけてよかった。あたたかく、バランスのよい音色、1曲目から心地よいコンサートだったし、ソヒエフの指揮するこのオーケストラの演奏はとてもすばらしかったのだが、数年ぶりに聴いた諏訪内さんの演奏が非常にすばらしかったこと、私にはその印象がことさら強烈だった。これまで私の中での諏訪内さんの演奏のイメージは「クールで完璧」、それに終始するのだが、この日のブラームスは「熱くて情念たっぷり」。音楽へのあたたかな愛や喜びさえもが伝わってくるようだった。なんというイメージの違い、いや、激変?! その意外さに驚きながら聴いた。非常に感動した。彼女の演奏をこれまで継続して度々聴いてきた知人や友人にそういう話をして、「諏訪内さんの演奏、変わりましたよね?」と確認してみたのだが、やはり同意見とのこと。そう遠くない時期に、今度はまた別のコンチェルトをぜひ聴いてみたいと思った。
●11/21(土) フィリアホール (18:00)
土曜ソワレシリーズ2009 《女神(ミューズ)との出逢い》 第195回
堀米ゆず子 & エル=バシャ
ベートーヴェン:ヴァイオリン・ソナタ全曲演奏会 3 (全3回)
(ヴァイオリン)堀米ゆず子
(ピアノ)アブデル・ラーマン・エル=バシャ
(オール・ベートーヴェン)
ヴァイオリン・ソナタ 第1番 ニ長調 op.12-1
ヴァイオリン・ソナタ 第2番 イ長調 op.12-2
ヴァイオリン・ソナタ 第3番 変ホ長調 op.12-3
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ヴァイオリン・ソナタ 第9番 イ長調 op.47 「クロイツェル」
(アンコール)
ヴァイオリン・ソナタ 第2番 より 第2楽章
※毎年楽しみにしていたこのシリーズもついに最終回。毎回、堀米さんはもちろん、エル=バシャさんも暗譜で臨むという、たいへんに気合の入ったシリーズ。私はクロイツェル・ソナタのピアノパートが非常に大好きで、特にこの回は楽しみにしていたけれど、本当にすばらしかった。このシリーズが終わってしまったのが惜しいので、ぜひまたこのコンビで、別の作曲家のシリーズを聴いてみたい。
●11/24(火) サントリーホール
内田光子 ピアノ・リサイタル(東京公演初日)
モーツァルト / ロンド イ短調 K511
ベルク / ピアノ・ソナタ op.1
ベートーヴェン / ピアノ・ソナタ イ長調 op.101
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シューマン / 幻想曲 ハ長調 op.17
(アンコール)
シューベルト / 即興曲 変ト長調 D899-3, op.90-3
モーツァルト / ピアノ・ソナタ ハ長調 K330 より 第2楽章
※私は見ないまま帰宅してしまったのですが、アンコール情報が間違っていたとのお詫びの告知がサントリーホールのサイトにあり。
※休憩後、皇后陛下御臨席。
●11/27(金) サントリーホール
内田光子 ピアノ・リサイタル(東京公演2日目)
モーツァルト / ピアノ・ソナタ イ短調 K310
クルターク / Fisのアンティフォニー (『遊び』2から)
J.S.バッハ / フーガの技法 BWV1080 から コントラプンクトゥス 1
クルターク / ころがりっこ (『遊び』3から)
クルターク / 肖像画(3) (『遊び』3から)
クルターク / 泣き歌(2) (『遊び』3から)
クルターク / クリスティアン・ウォルフを想って(うつらうつらと) (『遊び』3から)
J.S.バッハ / フランス組曲 第5番 BWV816 から サラバンド
クルターク / 終わりのない遊び (『遊び』3から)
モーツァルト / ロンド イ短調 K511
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シューマン / 幻想曲 ハ長調 op.17
(アンコール)
シューマン / 謝肉祭 op.9 より 告白 (Aveu)
ベートーヴェン / ピアノ・ソナタ 第30番 ホ長調 op.109 より 第1楽章
※冒頭のモーツァルトのソナタの後、1度、ステージから退出、その後、クルタークの楽譜を持って登場、その後、前半の残りの曲を一気に続けて演奏。
※いつも内田さんのコンサートの時には、とにかく、その場に自分がいられるということ、生きてその日を迎えられたということへの感謝の念が(大げさな話でなく、事実、そして実感として)自然にわきあがってくる。しかも、今回はプログラムにシューマンの幻想曲があったのだから。私はリサイタルでこれまで1度も内田さんのシューマンを聴いたことがなかったし、CDや放送を通して聴いた内田さんのシューマンの独奏曲というのも、謝肉祭、クライスレリアーナ、交響的練習曲の3曲だけ。かつてサントリーホールでの講演会で「最も好きな曲は?」という質問に「シューマンのピアノ協奏曲。この曲が好きで好きでもうメロメロ」と即答していた内田さんだから、シューマンへの思いは誰よりも強く深いのではと私は想像していた。海外でのリサイタルではシューマンをちょくちょく弾いているのに、東京ではなかなか聴けない、東京のリサイタルでもシューマンを取り上げてほしいなあ…とずっとお祈り(?)していた。そして、やっと念願がかなった! それもこれまで録音でさえ聴いたことがなかった幻想曲! リサイタルの日まで、「内田さんの幻想曲はどんな幻想曲なのだろう?」とあれこれ想像していたが、想像していたようにすばらしく、そして、想像をはるかに超えてすばらしかった。言葉にしてしまうのも惜しい。けれど、あの第3楽章の終わりのところ、あの音が消える瞬間の「かけがえのなさ」、それだけは書いておかなければいけない。この第3楽章はシューマンのピアノ作品の中でも特別に美しい1曲だ。夢幻な音のきらめきがまるでたゆたうかのように続いた後で、やがて音が消えてゆく。その消えてからの静寂のなんと美しく、神聖だったことか。幻想曲の最後の音が終わってからの静寂の中に、本当に深く強い言葉が待っている。その言葉は沈黙そのものなのだが、その沈黙がなんと雄弁であることか。あの瞬間を、内田さんと、そして多くの人と共に過ごせたことは本当に幸福な体験だった。まさに「それ」が演奏会で音楽を聴くということの醍醐味のひとつなのだとも思う。そういう意味では、内田さんのこの2回のリサイタルは演奏会でありながら、私にとっては「ひとつの体験」であり「ひとつの祭り」だった。(ただ、これは内田さんのリサイタルを聴きに行った後、毎回必ず思うことなのだが。)
●11/28(土) 紀尾井ホール (18:00)
南紫音 ヴァイオリン・リサイタル
(ピアノ)江口玲
ベートーヴェン / ヴァイオリン・ソナタ 第3番 変ホ長調 op.12-3
シューマン / ヴァイオリン・ソナタ 第1番 イ短調 op.105
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ラヴェル / ハバネラ形式の小品
チャイコフスキー / ワルツ・スケルツォ op.34
R・シュトラウス / ヴァイオリン・ソナタ 変ホ長調 op.18
(アンコール)
チャイコフスキー / 「なつかしい土地の思い出」 op.42から メロディ
ドビュッシー / 亜麻色の髪の乙女
※この公演の数週前に江口さんの演奏を聴いたのだが、その時、アンコールとして、シューマンのトロイメライとシューマン=リストの献呈を演奏してくださった。いやはや、この時の献呈のすばらしかったことといったら。江口さんのシューマンは(私が記憶している限りでは、演奏会で聴いたのは)10年近く前、JTアートホールでの室内楽を聴いて以来。CDでも最近では加藤知子さんとのヴァイオリン・ソナタ集を聴いた程度。だから、演奏会でまた江口さんのシューマンが聴ける機会があったらいいのになあと思っていたら、日を置かずして紀尾井で若手ヴァイオリニストの南紫音さんとシューマンのヴァイオリン・ソナタで共演するということがわかったので出かけてみた。南さんのヴァイオリン自体、はじめて聴いたけれど、とても素直でまっすぐなヴァイオリンという印象。よいリサイタルでした。まだ11月というのに、紀尾井ホール周辺はすっかりクリスマスモード。ホールの向かいのニューオータニの向こう側に見える東京タワーもクリスマスのイルミネーションの一部みたいで、しゃれた借景のようでおもしろかった。