2011年2月のコンサート

備忘録的インデックス。

怒濤のシューマン&シューベルト&バッハ月間!?


●2/4(金) 新国立劇場・中劇場 (18:30)
●2/5(土) 新国立劇場・中劇場 (14:00)

東京室内歌劇場 42期第129回定期公演《ゲノフェーファ》

(指揮)山下一史
(管弦楽)東京室内歌劇場管弦楽団
(合唱)東京室内歌劇場合唱団

(演出)ペーター・ゲスナー

(原作)ルートヴィヒ・ティーク/フリードリヒ・ヘッべル
(台本)ローベルト・シューマン/ローベルト・ライニク
(作曲)ローベルト・シューマン

※原語(ドイツ語)上演(字幕付 字幕・三ヶ尻正)

●出演者

[4日]
ゲノフェーファ:天羽明惠
ジークフリート:今尾滋
ゴーロ:クリスチャン・シュライヒャー
マルガレータ:星野恵里

[5日]
ゲノフェーファ:前川朋子
ジークフリート:和田ひでき
ゴーロ:内山信吾
マルガレータ:紙谷弘子

[両日とも]
ドラーゴ:大澤建
ヒドゥルフス:小島聖史
バルタザール:大澤恒夫
カスパール:岡元敦司

※シューマンの詩の写真:クリックすると拡大表示されます。

※この公演のパンフレットと対訳を購入することができます!
詳細や購入方法は東京室内歌劇場のブログ記事をご覧ください。
パンフレットは小冊子ですがとてもしっかりした内容です。


●2/8(火) 東京藝術大学 奏楽堂 (18:45)
課程博士学位演奏審査会
東浦亜希子 (ピアノ)

(オール・シューマン)
パピヨン op.2
間奏曲 op.4
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ダヴィッド同盟舞曲集 op.6 (初版)


●2/9(水) トッパンホール
〈アンドレアス・シュタイアー プロジェクト 5〉
アンドレアス・シュタイアー(チェンバロ)×ゴルトベルク変奏曲

J.S.バッハ / ゴルトベルク変奏曲 BWV988

(アンコール)
J.S.バッハ / 14のカノン BWV1087 より 第1曲

※(以下、ツイッターのメモを再構成したものに、文章を書き加えてあります)

プレガルディエンとのリート公演(シューマン&シューベルト)でシュタイアーが弾く予定だったフォルテピアノがこの冬の異常乾燥のため使えなくなったという衝撃的なニュースを知った直後に出かけた、シュタイアーのチェンバロによる演奏会。

プログラムはゴルトベルク変奏曲1曲のみ。繰り返しあり、休憩なし。ツイッターで何人かの方の感想をいろいろ拝見したところ、演奏時間について80分とか90分とあったのを見て驚いてしまった。何しろ、おもしろすぎて、聴いているうちにあっという間に終わってしまった感じがしたので、私自身は「1時間くらいの短い演奏会だったなー」と錯覚していたから。

(終演後に時計を見たら案外遅い時間だったので変だなーと思ったし、よく考えてみれば、繰り返し付きであの曲を演奏して1時間で終わるわけがない^^)

私がこの曲の中でもっとも好きなのは第26変奏から第30変奏~最後のアリアに至る部分なのだが、シュタイアーのリサイタルでは(もちろんその箇所もすばらしかった!)、第25変奏で深く感動した。あんなにもひそやかで愛らしい第25変奏があるだろうか。聴きながら、中世の恋物語を題材にした映画か芝居を観ているような不思議な錯覚に陥った。長い長い物語を紡ぐチェンバロによる音楽芝居。すばらしい演奏会だった!

ところで、私のツイッターアカウントを両方フォローしてくださっている方はご存知かもしれないが、昨年12月にネットラジオでシュタイアーのフォルテピアノによるディアベリ演奏会(シューベルトやリストほか、いろいろな演奏家によるディアベリ変奏曲&ベートーヴェンの変奏曲によるプログラム)を聴いて衝撃を受けて以来、私はしばらくの間、「(自分で録音した)シュタイアーのディアベリ演奏会ライヴを聴いているなう」などとつぶやき続けていた。特にベートーヴェンのディアベリ変奏曲は驚異的な演奏。CDが出ているのかいないのかわからなかったので検索してみたが、調べがつかなかった。…ということはCDは出ていないのかなあなどと思っていたのだが、このゴルトベルクの会場でばったり会ったシュタイアーに詳しそうな友人によれば、ベートーヴェンのディアベリ変奏曲のCDがないならこれから(?)録音するかも的な…(要するにCDが出ているのかいないのかも含めてやっぱりよくわからなかった…という…)。 次回、もしトッパンでリサイタルをするとしたら、シューマン&シューベルトに加えて(これは当然、絶対にやってほしい)、ベートーヴェンのディアベリ変奏曲もぜひともやってほしいなー^^

(2011.2.15 追記)
公演パンフレット掲載のプロフィール本文中にディアベリの録音予定のことが書かれていると教えていただきました。
(見落としていました。お知らせありがとうございます!)

※公演パンフレットから引用。
「2010年にリリースされた『ゴルトベルク変奏曲』の後は、『ディアベリ変奏曲』の録音が予定されている。」


●2/11(金・祝) ミューザ川崎シンフォニーホール (15:00)
ホールアドバイザー小川典子企画
ベートーヴェン+ Vol.3
小川典子 ピアノ・リサイタル

(小川さんと菅野さんによる新曲の解説)

菅野由弘 / 「虹の粒子」…ピアノと歌舞伎オルゴールのための
 ※「ピアノの粒子」3部作 第3弾
 ※小川典子・ミューザ川崎シンフォニーホール共同委嘱作品、世界初演

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ベートーヴェン /
 ピアノ・ソナタ 第30番 ホ長調 op.109
 ピアノ・ソナタ 第31番 変イ長調 op.110
 ピアノ・ソナタ 第32番 ハ短調 op.111

※3年シリーズの「ベートーヴェン+(プラス)」もこれが最終回。毎年、小川さんとミューザ川崎シンフォニーホールが共同で菅野さんに新曲を1曲ずつ委嘱。これが「ピアノの粒子」という3曲からなるシリーズ。小川さんがバッグに入れて世界のどこの演奏会にも持ち運びができる楽器、それも日本的な楽器を使ってほしいと菅野さんに希望を出し、以下の3曲が作曲され、このリサイタル・シリーズで世界初演された。

菅野由弘「ピアノの粒子」3部作

(2009 初演)
 「光の粒子」…ピアノと南部鈴のための

(2010 初演)
 「水の粒子」…ピアノと明珍火箸のための

(2011 初演)
 「虹の粒子」…ピアノと歌舞伎オルゴールのための

毎回、使われる楽器が「ナゾ」で、まあ、コンサート予定やチラシには楽器名が書かれているわけだから、ネット検索すればどんな楽器なのかはわかるのだろうけど、当日、実物を前にして解説してもらうことが驚きまじりの楽しいことだから、私は敢えて当日まで検索などで調べないことにしている。

※ちなみに去年演奏された明珍火箸については ここ に記事を書いたので見てください。

第3弾に登場した歌舞伎オルゴールというのは歌舞伎の下座音楽(舞台下手の黒御簾の中で演奏される効果音楽)で使われる、木板に「大きさの異なる鈴(りん)を」複数つけたもののこと。「2本の貝撥(かいばち)で打」たれ、「天界の音を表す」場面や「蝶の飛ぶ場面」に用いられるとのこと。
(以上、参照ならびに引用サイト:ウィキペディア / goo辞書 / yahoo!辞書

実物の写真
http://www004.upp.so-net.ne.jp/amfujikura...
http://www.bekkoame.ne.jp/~takinojo...
http://www.green.dti.ne.jp/housuu...

ネットで検索してもあまり情報がない。どこで買えるのか、いくらで買えるのかもわかりません。(歌舞伎の人以外は買わないのだろうか…) 小川さんのこの演奏会では新曲演奏の前に作曲者の菅野さんによる解説があった。その際、「結婚祝いでいただいたものなのでいくらするのか、値段がまったくわからない」と説明。(南部鈴は4つ?入りで2000円くらい? 明珍火箸は1膳40万円!だそうです)

演奏はピアニストがピアノを演奏しながら、折々に右手で撥を持って叩く方式。ピアノの音の余韻がミューザの豊かな残響効果の中でなめらかに広がっていく中、異国風の情緒あふれる(西洋風ではなく、あくまでも「異国風」)硬質の鈴(りん)の音が調和するおもしろい曲。個人的にはドビュッシーやスクリャービンなどと並べて聴いてみたい気がした。

これはとても短い曲だったけど、解説もあったのでここまででだいたい30分くらいだっただろうか。そこで休憩が入り、後半のベートーヴェンのソナタ3曲は間に休みを入れず演奏された。休憩前に、3曲を一緒に弾きたいからベートーヴェンのところでは(舞台から出たり入ったりはしますが…という言葉とともに)休憩を挟まないことの説明とお詫びがあった。

私は聴く予定にしていないけれど、20日のシフのベートーヴェン(やはりop.109, op.110, op.111の3曲)でも「休憩がない」ということが既に告知されていますね。

小川さんというと非常にかっちりしたタッチで、豊かな音量でピアノを鳴らすタイプという印象を持っていた。ピアニッシモも、美しくどこまでもクリアで明晰、それはあのきらびやかでかっちりしたタッチに秘密があるのだろうか、などとひそかに考えていたのだが、ベートーヴェンのこの3曲に関しては、ちょっと違う印象を持った。もっと柔らかな音楽。深い慈しみと感動、それが音になって現れているように感じられ、深く感動した。特にop.110は圧巻、やさしい愛にあふれたベートーヴェンの世界だった。それにop.111の第2楽章のモダンなことといったら。グールドがあの楽章で見せたモダンさとはまた違う種類のモダンさで、21世紀の今日にベートーヴェンのあのソナタを演奏することの意義のようなものさえ感じられた。また小川さんのリサイタルでこの3曲を聴きたいな^^

■関連リンク
小川典子ピアノ・リサイタル:ベートーヴェン+ Vol.3
 (読売新聞のウェブサイト:早稲田評。
 このリサイタルについての菅野由弘さんの文章)


●2/13(日) 紀尾井ホール (18:00)
紀尾井の室内楽 vol.32
アンドラーシュ・シフのバッハ II

J.S.バッハ / 平均律クラヴィーア曲集 第2巻
 (すべての長調と短調による前奏曲とフーガ) BWV870-893

神演奏…

■当サイト内のシフのほかの記事
・ アンドラーシュ・シフの新譜(op.21 全曲録音) (2002年の記事)

・ アンドラーシュ・シフ 9年ぶりに来日 オペラシティでシューマン (2008年の記事)

・ 2008年のコンサート まとめ (1) - アンドラーシュ・シフ、小川、伊藤、チッコリーニ ほか

・ アンドラーシュ・シフ & タカーチ四重奏団 CD「ドホナーニ:ピアノ五重奏曲 No.1 & 六重曲」


●2/15(火) 東京オペラシティ コンサートホール
アンドラーシュ・シフ ピアノ・リサイタル

(オール・シューベルト)
楽興の時 D780, op.94
即興曲集 D899, op.90
3つの小品 D946(遺作)
即興曲集 D935, op.142

(アンコール)
ハンガリー風のメロディ D817
グラーツのギャロップ D925


●2/17(木) トッパンホール
歌曲(リート)の森 ~ 詩と音楽 Gedichte und Musik~ 第4篇
〈アンドレアス・シュタイアー プロジェクト 6〉
クリストフ・プレガルディエン(テノール)&アンドレアス・シュタイアー(フォルテピアノ)

※シュタイアーは予定されていたフォルテピアノではなくベーゼンドルファー Model 290 Imperial を弾きました。

第1部 シューマンの歌曲を集めて

ヨーゼフ・フォン・アイヒェンドルフの詩による歌曲

  楽しい旅人 op.77-1
  宝捜しの男 op.45-1
  春の旅 op.45-2

5つのリート op.40

  においすみれ
  母親の夢
  兵士
  楽師
  露見した恋

ハインリヒ・ハイネの詩による歌曲
  2人の擲弾兵 op.49-1
  海辺の夕暮れ op.45-3
  憎悪し合う兄弟 op.49-2

N.レーナウの6つの詩による歌曲集と古いカトリックの詩によるレクイエム op.90

  鍛冶屋の歌
  ぼくのばら
  出会いと別れ
  牛飼いの娘
  孤独
  ものうい夕暮れ
  レクイエム

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第2部 シューベルト ゲーテの詩による歌曲集

竪琴弾きの歌 op.12

  孤独にひたりこんでいるものは D478
  涙を流しながらパンを食べたことのないひとたち D479
  わたしは家の裏戸口にそっとしのび寄っては D480

5つのリート op.5より
  トゥーレの王 D367
  恋人のそばに D162
  憩いない愛 D138
  はじめての失恋 D226

op.19 より

  ガニュメデス D544
  ミニョンに D161
  御者クロノスに D369

(アンコール)

シューベルト / 白鳥の歌 D957 より 「漁師の娘」
シューマン / 詩人の恋 op.48より
  「うるわしい、妙なる5月に」
  「ぼくの涙はあふれ出て」
  「ばらや、百合や、鳩」
  「むかしむかしの童話のなかから」


●2/20(日) 神奈川県立音楽堂 (15:00)
クリストフ・プレガルディエン/アンドレアス・シュタイアー

(テノール)クリストフ・プレガルディエン
(ピアノ)アンドレアス・シュタイアー

※シュタイアーは予定されていたフォルテピアノではなくスタインウェイを弾きました。(トッパンとはまた別のピアノということです)。

シューマン / 5つの歌曲 op.40

  においすみれ
  母親の夢
  兵士
  楽師
  裏切られた恋

シューマン / ロマンスとバラード第1集 op.45

  宝捜しの男
  春の旅
  浜辺の夕暮れ

シューベルト / 歌曲集「白鳥の歌」 D957 より

  漁夫の娘
  海辺で
  都会
  影法師
  彼女の絵姿
  アトラス

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シューマン / 歌曲集「詩人の恋」 op.48

(アンコール)
シューマン / 楽しい旅人 op.77-1
シューベルト / 憩いない愛 op.5-1, D138
シューマン / 月夜 op.39-1
シューマン / いたみ op.39-9

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