五色塚古墳に登る (1)

(つづき)

 さて、いよいよ五色塚古墳を目指す。いろいろな情報を総合すると、JRの垂水駅から徒歩で10分~15分程度の近距離にあるらしいのだが、その辺りの地図を見ても住宅街の中にあることはわかるが、道がえらくごちゃごちゃしていてよくわからない。ネットで調べた時にも、道がわかりにくくて迷ったという人たちがいたので、果たしてたどり着けるものかと思案した。しかし、距離的には近いのだし、地図も持っているのだからと、とにかく徒歩で古墳を目指す。だが案内板の矢印が少しおかしい。駅を出て矢印の通りに進んで行ったら、結局、ぐるっと駅の周辺の住宅街を一周して、出発地点とは反対側の駅前に出てしまった。頭の中は「???」の状態。日が照って暑かったこともあり、だんだんめんどくさくなってくる。

 駅前でタクシーに乗って、近くて誠に申し訳ないが、とても一人でたどり着く自信がないので古墳まで行ってくれと頼んだら運転手さんに「え? すぐそこなのに?」と笑われてしまった。「いや、案内板の通りに歩いてきたら、また駅に戻ってしまったから」と言ったら「そんなわけはない」と不思議がられた。私が最初に歩いて行った方向とは反対方向に車を向け、歩道からも駅からも見えにくいところにあった「五色塚古墳入り口」という小さい立て看板の前を通ってくれた。「あそこからぴゅーっと行けば一本道ですよ」と教えてくれたが、その「ぴゅー」の先を見てみれば、細い道がうねうねと上の方に続いていて、思っていた以上に距離がありそうだった。たとえ「ぴゅー」の一本道でも、この暑い日には歩いて上りたくない坂道だなと思った。

 古墳までわざわざタクシーで行くというのはよほどの好き者か変わり者に見えたらしく(いや、その通りで、まさに見たまんまなわけなのだが)、「でも、あそこに行っても、何にもありませんよ。石ばっかりで…」と呆れた口調が半分、不思議そうな口調が半分で言われた。「いや、その石を見に来たのです。ここでしか見られない石だから…」とむにゃむにゃ言ってみる。「まあ、上まで登れば明石海峡大橋とか見えて、眺めはいいからね」と言われるが、私の目的は造営当時の姿が再現された古墳と葺石を見ることだったし、そのことしか考えていなかったから、「上まで登る」とか「眺めがいい」ということの意味がわからなかったが、後で古墳に行ってみてその言葉の意味がわかった。

(つづく)

住宅街の中に横たわる五色塚古墳

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五色塚古墳に登る (1)
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